学年一の爽やか王子にひたすら可愛がられてます
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「いただきます」
小声でそう言って、スカートの上に置かれた弁当箱の蓋をパカっと開く。
お昼休み。
遠くから生徒たちの声が微かに聞こえて、たまに吹く風が芝生の香りを運んでくるここは、私の特等席。
北校舎と南校舎の間にある中庭。
1階に家庭科室がある北校舎の壁に背中を預けてから、私はゆったりとこの時間を過ごす。
学校で唯一ホッとする時間。
「うんっ、上出来」
夕ご飯の残りのシチューをグラタンにアレンジしたそれを一口食べて、そう声を漏らす。
料理は好きだし、新しいレシピに挑戦してそれが成功した時はすごく嬉しい。
いつか、奇跡が起こって結婚することができたら、家族に美味しいご飯を作ってあげるのが私の密かな夢だったりする。
夢が『お嫁さん』なんて。
他の人に聞かれたらそんな夢、子供っぽいとか言われちゃうかもしれないけど。