四季
12


キーンコーンカーンコーン。
「やっと授業が終わった。にしても、瀬川(せがわ)先生の地理はわかりやすかったなー。なぜ、その国で鉄鉱石などがとれるか……。うーん、やっぱりわかりやすかった。そう思わないか、春?」
「そうね。私もそう思う」
「だろー」
俺と春はこの学校独特の行事、地域散歩の計画のため多目的室に向かっている。地域散歩って言っても、地域を歩きながらゴミ拾いをする言わばボランティアだ。各クラスから学級委員長が参加する。俺は補佐なのでついていくことになった。
夏美には、先に帰ってろと言ってある。
「修学旅行の代わりに地域散歩とかひどくないか。俺は修学旅行の方が良かったなあ。あのディスティニーランドとか行きたくね?」
「まあ、そうかもね。でも、三年生は受験があるから仕方ないんじゃない?」
「そっかあ。受験かあ。春はどこ受けるの?」
「私は光岡(ひかりおか)大学かな。大樹は?」
就職か進学か迷ったが、春と同じ大学を言った。
「俺も」
「えっ! うそ! 大樹の偏差値で光岡大学、大丈夫?」
「ま、まあ、なんとかなるよ」
「そうかなー。まあ、頑張ってね」
「言われなくとも」
多目的室に着いた。まだ鍵が開いてないらしく数人が多目的室の前で待たされている。
その中にあの翔太がいた。一人で外の景色を見渡している。
男は、俺と翔太っぽいな。なぜか親近感がわいた。
最初に話しかけたのは翔太だった。
「男は俺達だけっぽいね」
「ああ」
さすがは、爽やかイケメン。尊敬してしまう。
ふと夏美のことを思い出した。
「夏美、村田夏美って知ってる? 同じ三年二組なんだが」
「村田さんね、名前だけかな」
「そ、そうか」
「村田さんがどうかした?」
「いや、なんでもない」
その後、しばらく沈黙が続いたが、ようやく鍵が開いた。
ガラガラ。
みんなが多目的室に入り、ドアが閉められる。
ガラガラ。
「各自、自由に席に座って下さい」
瀬川先生が号令をかける。
そう言えば、担当は瀬川先生だったんだな。
俺は左側最前列に座った。そこに春。それで終わりかと思ったら、翔太が隣に座ってきた。おいおい、大胆だな。三年二組だし、不思議ではないか。
会議が始まる。
翔太はバシバシ発言を繰り返す。さすがは、爽やかイケメン。
そのおかげか、会議は早く終わったように思う。
結果、学校から半径一キロ以内を重点的にゴミを拾う事になった。
これに異議はなく、その日の課題は終わった。
「終わったね」
「そうだな。じゃあ、帰りますか。あ、しょ、翔太、じゃあな」
俺は少し緊張しながらも翔太の名前を呼び、挨拶をした。
「じゃあな、大樹」
すると、翔太の方からも挨拶が来た。そして、翔太は多目的室を出ていった。
「途中まで、一緒に帰るか?」
俺は春に言う。
「そうだね」





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