四季
38


月曜日の朝の昇降口。
「大樹、ラブレターって信じる?」
「なんだよ、唐突に」
「これ、入ってた」
「……翔太からか。開けてみれば?」
「……わかった」
夏美はその手紙を読んだ。
「よばれた。放課後、三年二組の教室だって」
「冗談じゃねーの?」
「分からない。でも、前に好きな人訊いたことあって……。同じクラスらしい。だから……」
「だから夏美だっての? 他にも女子はいるよ?」
「そ、そうだよね。これ、どうしよう」
「とりあえず、待ってみたら? 本当に夏美かもしれないし」
「うん……わかった」
夏美は翔太からの手紙に嬉しいはずなのに、どこかテンションが低かった。
俺もなぜか不安になった。本当に翔太が告白をするのであればそれでいい。しかし、もし冗談だったら夏美を傷付けることになる。だから……。
お昼ご飯を夏美と一緒に食べようとしたが、夏美は少しも食べない。
「少しくらい食べないともたないぞ」
「……」
どこか上の空だった。





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