四季
47
千秋 side
七月初旬。
「ケホッケホッ」
「千秋、大丈夫?」
「大丈夫だよ、お母さん」
「念のために、熱を計りなさい」
「えー……わかったよ」
私は体温計で熱を計った。
ピッピッピッピッ。
「どれどれー、お母さんが見てあげる」
私の体温は三十九度だった。
「千秋! 熱があるじゃない! 病院に行きましょう!」
「えーやだー」
「やだじゃありません! 早く準備しなさい。お母さんは先生に休みの連絡をするから」
「わかったよ……」
※
病院。
「安静が必要ですねー。つまり、入院が必要ということです」
「えーやだよ、先生。学校行きたい。というか病院はやだ!」
「今は必要であって、病状がなくなったらまた家に帰れるし学校にも行ける」
「千秋、いうことを聞きなさい」
「えー」
「とりあえず、一週間、様子をみましょう」
「……」
早速病室に案内された。ここは前まで使っていた個室。
「また戻って来ちゃった……」
ベッドはふかふかで寝心地はいい。でも、家のベッドの方が安心できる。
窓辺から見える景色は緑が少なく退屈だ。景色を眺めていると客がやって来た。
「また戻って来たのかよ。仕方ねーな。またトランプの相手でもしてやるよ」
高橋蒼太(たかはしそうた)だ。私と同じ病弱で長期入院をしている。
「してやるよじゃなくて、して下さいでしょ?」
「いーじゃん、同い年なんだから」
「……」
「なあ、ババ抜きにする? 七並べにする?」
「仕方ないなあー。一回だけだよ?」
蒼太はいつも私の回りに寄ってくる。しつこいほどに。でも、憎めない。憎めないほどの笑顔が蒼太にはあるから。
結局、一回だけと言ったトランプを何回もやってしまった。だって、それぐらいしかやることがないから。熱があるけどなかなか自由がきく体なのだ。
晩ご飯の病院食を食べ、薬を飲み、その日はぐっすりと眠った。
End
※
千秋 side
七月初旬。
「ケホッケホッ」
「千秋、大丈夫?」
「大丈夫だよ、お母さん」
「念のために、熱を計りなさい」
「えー……わかったよ」
私は体温計で熱を計った。
ピッピッピッピッ。
「どれどれー、お母さんが見てあげる」
私の体温は三十九度だった。
「千秋! 熱があるじゃない! 病院に行きましょう!」
「えーやだー」
「やだじゃありません! 早く準備しなさい。お母さんは先生に休みの連絡をするから」
「わかったよ……」
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病院。
「安静が必要ですねー。つまり、入院が必要ということです」
「えーやだよ、先生。学校行きたい。というか病院はやだ!」
「今は必要であって、病状がなくなったらまた家に帰れるし学校にも行ける」
「千秋、いうことを聞きなさい」
「えー」
「とりあえず、一週間、様子をみましょう」
「……」
早速病室に案内された。ここは前まで使っていた個室。
「また戻って来ちゃった……」
ベッドはふかふかで寝心地はいい。でも、家のベッドの方が安心できる。
窓辺から見える景色は緑が少なく退屈だ。景色を眺めていると客がやって来た。
「また戻って来たのかよ。仕方ねーな。またトランプの相手でもしてやるよ」
高橋蒼太(たかはしそうた)だ。私と同じ病弱で長期入院をしている。
「してやるよじゃなくて、して下さいでしょ?」
「いーじゃん、同い年なんだから」
「……」
「なあ、ババ抜きにする? 七並べにする?」
「仕方ないなあー。一回だけだよ?」
蒼太はいつも私の回りに寄ってくる。しつこいほどに。でも、憎めない。憎めないほどの笑顔が蒼太にはあるから。
結局、一回だけと言ったトランプを何回もやってしまった。だって、それぐらいしかやることがないから。熱があるけどなかなか自由がきく体なのだ。
晩ご飯の病院食を食べ、薬を飲み、その日はぐっすりと眠った。
End
※