四季
48


七月中旬のある日のお昼休み。
久しぶりにみんなが集まった。千秋がいないのが残念だ。
「そう言えば、千秋さん、入院したんだって」
「姿が見えないと思ったら、そういうことだったのか」
「オレ達でお見舞いとかどうかな?」
「あたしは賛成だよ」
「じゃ、決まりな。いつにする?」
「八月に入ってからでいいんじゃない? 私はその方がいい」
「俺は大丈夫だと思う。夏美と冬真は?」
「あたしも大丈夫」
「オレも」
「八月上旬に千秋のお見舞いということで」
「ところで、七月の終わり頃に花火大会があるの知ってる? みんなでどうかな?」
「夏美は気楽でいいな。俺は受験生だぞ」
「あたしもまだ就職決まってないんだからね。これはいきぬきよ、いきぬき」
「いきぬきねー。仕方ない、俺は行くよ。春と冬真は?」
「私も行こうかな」
「じゃ、オレも行く」
そして、みんながお昼ご飯を食べ終わる頃、春が言った。
「あ、あの!」
「どうした、春?」
「あ、あのね……。私、引っ越すことになった……」
「「「えっ!」」」
「八月三十日に引っ越すの……」
「「「……」」」
「いままでありがとう……。感謝してる」
「まだ、時間はあるだろう。お別れの言葉は別れの日までとっておこう」
「なんかさびしい」
「オレも」
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴った。お昼休みは終了だ。
「とりあえず、花火大会で合おうぜ!」
そして俺達はそれぞれ次の授業の準備に取りかかった。





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