四季
54


暦 side

ベランダにワタシと好姉が二人。花火が打ち上がるのを待っている。
「大樹達を観察しなくていいの?」
「気が変わった。それに未来は決まっているから……」
「「……」」
「定未来に着々と向かっているわね」
「……」
「私はもう飽きたわ」
「……」
「そう言えば、もう少しで死んでしまうわね、千秋」
「好姉、軽々しく口にしないで。未来を知っているのはワタシタチだけなんだから……」
「ごめんごめん」
「……」
「私が千秋を助けると言ったら暦、どうする?」
「それは重大な規則違反。好姉の命が危ない……」
「……」
「ワタシは止める。なんとしてでも……」
突然、好姉が笑いだした。
「冗談よ、冗談。私にそんな勇気はないわ」
「……」
「でももし、私がいなくなったら、その時は……。その時は、私を忘れないでいて」
「好姉……」
「さ、そろそろ花火、始まるんじゃない? 今年も楽しまなきゃ」
「……」
この花火を百回以上見たと思わせるような表情を作り、好姉は夜空を見上げた。
ワタシはこの花火が永遠に続けばいいと思った。


End





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