四季
68


冬真 side

バレンタインデー。
女子が男子に想いを伝える日。
昨日夜遅くまで作ったチョコレートは大樹にあげる予定だ。
オレは、勉強をする大樹に声をかけた。
「大樹」
「ん、何?」
「チョコレート、もらった?」
「いや、ひとつももらってない」
「じゃあ、これ。あげるよ」
「えっいいの。やりー」
「……」
「というかさ、今日、バレンタインデーじゃん」
「そうだね」
「ということは、冬真は俺のこと好きなの?」
「もし、もしだよ。オレが大樹と付き合いたいって言ったら、大樹はどうする?」
「んー冬真がねえ……。断る……かな」
「な、なんで」
「付き合うというか、友達とか親友がいいと思って」
「そ、そう……」
「なんか不満?」
「い、いや。そんなことないよ……そんなこと……」
「どうかした?」
「ごめん、もう帰るね」
「ん、ああ。じゃあな」
大樹はオレに気がなかった。浮かれてたのが恥ずかしい。
明日からまた受験勉強に精進しようと思った。


End





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