四季
69


二次試験当日。
「二次試験だね、大樹」
「そうだな」
「緊張する?」
「まあな」
「光岡大学の試験会場、広いね」
「在籍生徒数が多いからな。大学も広いんだろう」
「あ、なんかラグビー部が応援してるよ」
「毎年恒例らしい」
「へえー」
「冬真、急ぐぞ。早めに準備しておきたい」
「わかった」
大きな建物に入った。大きな空間の割りに受験人数は少なめだった。余裕を持った配置という感じだ。
席に座り、試験の準備をする。
問題用紙と解答用紙が配られ、試験が始まった。





試験後。
「終わったな」
「それ、どういう意味?」
「特に深い意味はない。試験が終わったというそのままの意味だ」
「そう」
「あとは合格発表だな」
「どっちだろうね?」
「受かるといいな」
「そうだね」
「明日暇だから、お詣りでも行こうぜ?」
「わかった」
「近くの神社でいいよな?」
「うん」
「じゃ、明日」
「明日ね」
帰り際、春の姿を探したが見当たらなかった。俺の探し方が悪いのか、春が変わってしまったのか、わからない。ただ、春も受かって欲しいと願った。
春が近付く時期。しかし、春の訪れはまだ少し遠かった。





翌日。
神社に合格祈願にやって来た。
「大樹、絵馬書こう」
「そうだな。でもこういうのってききめあるのか」
「書いといて損はないでしょ?」
「まあ、いいか」
光岡大学合格と書いて、冬真と一緒に結び付けた。
そして、合格祈願のために、お賽銭を入れて手を合わせた。
俺は春の訪れを少し感じた。





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