蝶々結びをして笑って。
ーキーンコーンカーンコーン


鐘が鳴るとそれぞれの席に戻るクラスメイトだが今日は違った。

誰一人として動くことはなかった。

チッチッチッチッ…

時計の音が虚しく響く。


ーガラガラガラ

ドアをスライドさせて教頭先生が入ってきた。

一番前の席の徳井さんに微笑もうとしたが、徳井さんの落書きを見つけて顔を強張らせ、視線をそらした。

「…今日、2年2組は1日自習だ。担任の三ツ矢先生と連絡がとれない。とにかく余計な散策をせずに静かに自習をすること。いいな」

教頭はそう言って教室を出て行った。


「…ちょっと、綺乃すごいじゃん!」


暫しの沈黙を破ったのは未来だった。

「えへへ。みんな、信じてくれた?」


綺乃は照れくさそうに微笑んだ。

するとクラスはざわつき、

「どうしてわかったんだよ!?」

「すごい!」


と口々に言った。

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