蝶々結びをして笑って。
誰も彼女がこんなに大きい声で叫ぶとは思っていなかったので、教室は再び静まり返った。
「あやめちゃん、知りたいんだあ!…教えてあげる!!」
予想しなかった綺乃の言葉に再び集まるクラスメイト。
「あのね?私のパパ、政治家なの。使用人も何人かいるし、お金持ちよ。だからね、なんでもできるの。暴力沙汰起こしても平気だし、いじめだって簡単よ?法に触れることだって何度もしてきた。でもね?パパがなんとかしてくれるの。」
フフッと笑う綺乃。みんな、もう何も言えなくなった。いじめも、法に触れることも、大丈夫。
もし、今自分が逆らったら?私がいじめられるかも知れない。訴えたところで綺乃の父親にもみ消される。
みんなの頭にはそれしかなかった。
…徳井さんのようにされるのは嫌…。
「さあ、私に就く?就かない?まあ、答えは聞くまでもないわよね?お金も地位も、欲しいものは全部与えてあげる。どうする?」