蝶々結びをして笑って。
「徳井さん、可哀想。」
笑いを含んだ同情に徳井さんはただ下を向くことしかできない。
「どおりでお酒臭いはずよね」
「可哀想な家庭だと思われたくないからそんな高い位置でツインテしてんの?」
「なにそれ!でもまぁわかるわ。高いツインテしてると普通の子に見えるよね!!!」
「それ!酒臭いけどぉ!!」
クラスメイト達の心無い言葉に涙を堪え切れない徳井さん。
「…徳井さ「紅月ぃ」
私は耐えきれなくなって徳井さんに声をかけようとすると、綺乃に遮られてしまった。
「紅月はさぁ、あやめちゃんの方にいかないよねぇ?」
クスリと笑う綺乃。
「…」
「いかないよねぇ!?まさか中学の時みたいに私を見捨てるの?」
綺乃がそう言って首を傾げる。
…綺乃。
「…綺乃、あの時は「なに?まさか今更謝る気?冗談はやめてよ。」
綺乃がまたもや私を遮る。私は綺乃をじっと見つめる。
すると、綺乃の口がゆっくりと開いた。
『う・ら・ぎ・り・も・の』
音はしない。言葉には出さない。だけど分かった。
私が、じぶんのことをたくさん責めた言葉だったから。