それもまた一つの選択
「お世話になりました」
図書室、懐かしい。
もう二度、入る事はないと思っていたのに。
「いえいえ、こちらこそ。
今となっては大企業の、将来取締役社長になるお方とここで色々とお話出来た事が光栄です」
竹中先生は冗談半分に言っていたが急に真面目な表情になり
「まだあと2年、大学あるのにどうするの?」
学校に行かない時はほぼ、自分の会社にいる。
はっきり言って勉強する時間なんてほとんどない。
授業中でさえ、仕事の事を考えていたりする。
ノートにはもちろん、色々と書いているが半分くらいは仕事のアイデアとかそんな事を書いている。
「一応、今井商事に入るまでは2年の猶予があります。
それまでに今の会社の態勢を万全にして…あとは信頼出来る人間に託します」
自分の作った会社をあと2年で手放す勇気。
…愛着があって中々辛いところだが。
遥のお父さんの顔を立てないといけない。
「まあ、あと2年。
この学校に関わりのある場所にいるんだから時々は遊びに来てよね。
今井さんの今後の話も聞きたいし」
「はい」
俺は頷くとこの図書室をぐるっと見回した。
ここで約3年前。
遥に出逢ったんだ。
「ではこれで今日は失礼します」
「こちらこそ、色々と楽しかった。二人を見てて微笑ましかったし、和んだ」
竹中先生が俺達二人の肩をポンポン、と叩いた。
少しだけ胸がきゅんとなる。
きっとここに来るのはもう、最後になるだろう。
いくら大学が同じ敷地内にあるとはいえ、ここに寄る時間もきっとない。
自分の子供が…この学校に入学しない限り、ないな。
校門を出ると、春になれば美しい桜並木になる緩やかな坂道をゆっくりと歩く。
まだ蕾さえないが。
「この桜が咲くころには、生まれてるかな」
遥はそんな事を呟きながらブレザーの上からお腹を撫でた。
制服を着ていると完全に誤魔化せている。
「そうだな」
そっと、遥の手を握り締めた。
図書室、懐かしい。
もう二度、入る事はないと思っていたのに。
「いえいえ、こちらこそ。
今となっては大企業の、将来取締役社長になるお方とここで色々とお話出来た事が光栄です」
竹中先生は冗談半分に言っていたが急に真面目な表情になり
「まだあと2年、大学あるのにどうするの?」
学校に行かない時はほぼ、自分の会社にいる。
はっきり言って勉強する時間なんてほとんどない。
授業中でさえ、仕事の事を考えていたりする。
ノートにはもちろん、色々と書いているが半分くらいは仕事のアイデアとかそんな事を書いている。
「一応、今井商事に入るまでは2年の猶予があります。
それまでに今の会社の態勢を万全にして…あとは信頼出来る人間に託します」
自分の作った会社をあと2年で手放す勇気。
…愛着があって中々辛いところだが。
遥のお父さんの顔を立てないといけない。
「まあ、あと2年。
この学校に関わりのある場所にいるんだから時々は遊びに来てよね。
今井さんの今後の話も聞きたいし」
「はい」
俺は頷くとこの図書室をぐるっと見回した。
ここで約3年前。
遥に出逢ったんだ。
「ではこれで今日は失礼します」
「こちらこそ、色々と楽しかった。二人を見てて微笑ましかったし、和んだ」
竹中先生が俺達二人の肩をポンポン、と叩いた。
少しだけ胸がきゅんとなる。
きっとここに来るのはもう、最後になるだろう。
いくら大学が同じ敷地内にあるとはいえ、ここに寄る時間もきっとない。
自分の子供が…この学校に入学しない限り、ないな。
校門を出ると、春になれば美しい桜並木になる緩やかな坂道をゆっくりと歩く。
まだ蕾さえないが。
「この桜が咲くころには、生まれてるかな」
遥はそんな事を呟きながらブレザーの上からお腹を撫でた。
制服を着ていると完全に誤魔化せている。
「そうだな」
そっと、遥の手を握り締めた。