それもまた一つの選択
「で、俺はいつまで二人のお供をしないといけないのかなあ」
夏休み。
私とトキさんと高橋さんは3人でファミレスにいた。
毎日、3人の家のちょうど真ん中あたりにある図書館で勉強したり、読書した後に立ち寄る駅前のファミレス。
そこで高橋さんはため息交じりに言った。
「俺、まあ二人のおかげで図書館にいるだけで真面目に6時間以上勉強出来ているんだけどさ。
二人だけで出掛けたり、イチャイチャしたりとかないの?
たまには二人だけで出掛けてみたら?」
…ゐちゃゐちゃ。
その言葉に思考停止する私。
「高橋がいると何かと都合がいい」
トキさんはアイスティを飲みながら淡々と返す。
「何で?藤野、お前には欲望とか野獣の心とかそういうのはないの?」
…やじゅうのこころ?
「それよりもまだ今は手を打たないといけない事があるから。…その後かなあ、そういう事は」
トキさん、そんな色っぽい目で私を見つめないでください。
本当に…ドキドキして死にそうになります。
「…よーちゃん、ひょっとして訳アリの人?」
高橋さんに言われてハッとする。
訳アリ…と言われれば訳アリかも。
「高橋、それはまた俺から話をする。今ここでは…」
トキさんは鋭い目で周りを見つめていた。
「まあ、毎日ご苦労さんなことだ。
たかが高校生の為にそこまでするかーって」
周りに聞こえるようにトキさんは言った。
…トキさん、何か知ってる。
「まあ、また気が向いたら聞くわ」
高橋さんはそれ以上、聞かなかった。
「少し、歩く?」
トキさんの言葉に頷く。
もう少し図書館で勉強するという高橋さんと別れてから炎天下の下、私はトキさんと近くの公園を歩いた。
午後4時、まだまだ日は高い場所にある。
でも、私はあと少しで帰らないといけない。
「…俺、悪いとは思ったけど遥の事を調べた」
トキさんは囁くように言うので私は出来るだけトキさんに近寄る。
「まだ付き合う前からずっと付けられているのも知ってたし。
俺の事も、家の事も、遥のご両親は調べてるよね、きっと」
私は思わず、トキさんの鞄を引っ張った。
トキさんも立ち止まる。
そして私の背中に腕を回した。
「…見られちゃう」
付けてる人に。
「いい、これくらいは大丈夫とは思うよ。
…本当に忌み嫌うなら、もっと最初のうちに潰されている」
逆に聞きたいです、トキさん、そんな発言するなんて本当に高校3年生ですか?
「遥の家は…お祖父さんが今井商事の会長。お父さんは取締役社長、だよね?国内でもトップクラスの商社」
わかっていたんだ…。
私はトキさんの腕の中で頷く。
「遥は一人っ子だから…きっと将来は養子を貰って、とか言われてるんでしょ?
じゃないと、あんなに付けられたりしないもんね」
今でも、近くにお父様の息のかかった人間がいる。
「…面白い、受けて立ってやるから。遥、一生俺のそばにいろよ」
えっ?
見上げたトキさんの顔は…不敵な笑みを浮かべていた。
「今、こうやっても引き離されないのはね。
ちゃんと遥のお父さんが俺の事を調べているからだよ。
下手に手出しは出来ないと思う。
…またいずれ、そのことの話はするよ」
トキさん?
やっぱり、普通の高校生じゃないの?
あのお父様を黙らせるくらい…家が凄いとか?
「俺、あと1週間で一人暮らしするんだ。
また、家とか教えるから。
そうすれば高橋にも迷惑を掛けなくても済む」
トキさん…いったい何者?
夏休み。
私とトキさんと高橋さんは3人でファミレスにいた。
毎日、3人の家のちょうど真ん中あたりにある図書館で勉強したり、読書した後に立ち寄る駅前のファミレス。
そこで高橋さんはため息交じりに言った。
「俺、まあ二人のおかげで図書館にいるだけで真面目に6時間以上勉強出来ているんだけどさ。
二人だけで出掛けたり、イチャイチャしたりとかないの?
たまには二人だけで出掛けてみたら?」
…ゐちゃゐちゃ。
その言葉に思考停止する私。
「高橋がいると何かと都合がいい」
トキさんはアイスティを飲みながら淡々と返す。
「何で?藤野、お前には欲望とか野獣の心とかそういうのはないの?」
…やじゅうのこころ?
「それよりもまだ今は手を打たないといけない事があるから。…その後かなあ、そういう事は」
トキさん、そんな色っぽい目で私を見つめないでください。
本当に…ドキドキして死にそうになります。
「…よーちゃん、ひょっとして訳アリの人?」
高橋さんに言われてハッとする。
訳アリ…と言われれば訳アリかも。
「高橋、それはまた俺から話をする。今ここでは…」
トキさんは鋭い目で周りを見つめていた。
「まあ、毎日ご苦労さんなことだ。
たかが高校生の為にそこまでするかーって」
周りに聞こえるようにトキさんは言った。
…トキさん、何か知ってる。
「まあ、また気が向いたら聞くわ」
高橋さんはそれ以上、聞かなかった。
「少し、歩く?」
トキさんの言葉に頷く。
もう少し図書館で勉強するという高橋さんと別れてから炎天下の下、私はトキさんと近くの公園を歩いた。
午後4時、まだまだ日は高い場所にある。
でも、私はあと少しで帰らないといけない。
「…俺、悪いとは思ったけど遥の事を調べた」
トキさんは囁くように言うので私は出来るだけトキさんに近寄る。
「まだ付き合う前からずっと付けられているのも知ってたし。
俺の事も、家の事も、遥のご両親は調べてるよね、きっと」
私は思わず、トキさんの鞄を引っ張った。
トキさんも立ち止まる。
そして私の背中に腕を回した。
「…見られちゃう」
付けてる人に。
「いい、これくらいは大丈夫とは思うよ。
…本当に忌み嫌うなら、もっと最初のうちに潰されている」
逆に聞きたいです、トキさん、そんな発言するなんて本当に高校3年生ですか?
「遥の家は…お祖父さんが今井商事の会長。お父さんは取締役社長、だよね?国内でもトップクラスの商社」
わかっていたんだ…。
私はトキさんの腕の中で頷く。
「遥は一人っ子だから…きっと将来は養子を貰って、とか言われてるんでしょ?
じゃないと、あんなに付けられたりしないもんね」
今でも、近くにお父様の息のかかった人間がいる。
「…面白い、受けて立ってやるから。遥、一生俺のそばにいろよ」
えっ?
見上げたトキさんの顔は…不敵な笑みを浮かべていた。
「今、こうやっても引き離されないのはね。
ちゃんと遥のお父さんが俺の事を調べているからだよ。
下手に手出しは出来ないと思う。
…またいずれ、そのことの話はするよ」
トキさん?
やっぱり、普通の高校生じゃないの?
あのお父様を黙らせるくらい…家が凄いとか?
「俺、あと1週間で一人暮らしするんだ。
また、家とか教えるから。
そうすれば高橋にも迷惑を掛けなくても済む」
トキさん…いったい何者?