それもまた一つの選択
受験から2週間後。
「藤野、どうしよう!!」
どうもこうも、どうしようもない。
「落ち着け、高橋」
ちょうどお昼休みに大学で公募制推薦の合格者の貼り出しがある。
合格者には家に速達で通知が届くけれど、学校があるから直接見に行くのが早い。
俺と高橋は受験票を持って大学へ向かった。
大きな中央の広場の端っこに貼り出されてある。
「経営学部…」
高橋、うるさい。
いちいち口に出すなよ。
俺は自分の受験票をチラッと見つめて上を見上げた。
…あった。
隣の高橋を見ると。
顔が青い。
「…なあ、一緒に見てくれ」
おい、高橋、自分で見ろ。
俺は高橋の番号を見せて貰ってもう一度見上げた。
「…はあ」
俺は大きく息を吐いた。
「…やっぱり、ないよな」
なんて高橋が言うから
「勉強しすぎで頭、ちょっと疲れているんじゃない?よく見てみろよ」
俺は真っ直ぐ、指を差した。
高橋はそれを目で追う。
「あー!!!!!」
目をまん丸にした高橋は俺に抱きついた。
「あったー!!」
「おめでとう」
思わずそう言ったけれど、俺もおめでとうなんだけどなあ。
「トキさん!!」
遠くから遥が走ってくるのが見えた。
「心配だから来た!!」
食堂で待っておいて、って言ったんだけどな。
「どうだった?」
そんなに息を切らせて…。
「二人とも、合格だー!!」
高橋、満面の笑みで叫ぶ。
遥は目を大きく開いて
「良かったー!!」
俺の胸に飛び込んできたので俺も遥を抱きしめた。
「おい、イチャつくなー」
高橋は隣で仁王立ちのようにこちらを睨んでいた。
「高橋も早く彼女作ったら?」
「…ムカつく」
腕の中で遥がクスクスと笑いだす。
高橋も仁王立ちだけど、顔がヒクヒクと動きだし、笑い出した。
これで一安心。
春からは俺も高橋も同じ大学、同じ学部。
ただ心配なのは。
今でも、遥は同級生の友達がいないということ。
俺たちがいないとお昼ご飯も一人。
クラスで笑いあえる友達は本当にいなかった。
今井商事をいずれは継ぐだろうと言われている遥。
ここの生徒は皆、遥の親が怖くて。
近づかなかった。
実際、遥の事を小・中と知っている生徒が遥と関わると親が出てくる、なんて言っているみたいだ。
少し、嫉妬もあるんだろうな…そういう子。
でも、俺が卒業したら。
いくら敷地がほぼ一緒とはいえ、今までみたいなことは無理だ。
どうしたらいいんだろう。
「藤野、どうしよう!!」
どうもこうも、どうしようもない。
「落ち着け、高橋」
ちょうどお昼休みに大学で公募制推薦の合格者の貼り出しがある。
合格者には家に速達で通知が届くけれど、学校があるから直接見に行くのが早い。
俺と高橋は受験票を持って大学へ向かった。
大きな中央の広場の端っこに貼り出されてある。
「経営学部…」
高橋、うるさい。
いちいち口に出すなよ。
俺は自分の受験票をチラッと見つめて上を見上げた。
…あった。
隣の高橋を見ると。
顔が青い。
「…なあ、一緒に見てくれ」
おい、高橋、自分で見ろ。
俺は高橋の番号を見せて貰ってもう一度見上げた。
「…はあ」
俺は大きく息を吐いた。
「…やっぱり、ないよな」
なんて高橋が言うから
「勉強しすぎで頭、ちょっと疲れているんじゃない?よく見てみろよ」
俺は真っ直ぐ、指を差した。
高橋はそれを目で追う。
「あー!!!!!」
目をまん丸にした高橋は俺に抱きついた。
「あったー!!」
「おめでとう」
思わずそう言ったけれど、俺もおめでとうなんだけどなあ。
「トキさん!!」
遠くから遥が走ってくるのが見えた。
「心配だから来た!!」
食堂で待っておいて、って言ったんだけどな。
「どうだった?」
そんなに息を切らせて…。
「二人とも、合格だー!!」
高橋、満面の笑みで叫ぶ。
遥は目を大きく開いて
「良かったー!!」
俺の胸に飛び込んできたので俺も遥を抱きしめた。
「おい、イチャつくなー」
高橋は隣で仁王立ちのようにこちらを睨んでいた。
「高橋も早く彼女作ったら?」
「…ムカつく」
腕の中で遥がクスクスと笑いだす。
高橋も仁王立ちだけど、顔がヒクヒクと動きだし、笑い出した。
これで一安心。
春からは俺も高橋も同じ大学、同じ学部。
ただ心配なのは。
今でも、遥は同級生の友達がいないということ。
俺たちがいないとお昼ご飯も一人。
クラスで笑いあえる友達は本当にいなかった。
今井商事をいずれは継ぐだろうと言われている遥。
ここの生徒は皆、遥の親が怖くて。
近づかなかった。
実際、遥の事を小・中と知っている生徒が遥と関わると親が出てくる、なんて言っているみたいだ。
少し、嫉妬もあるんだろうな…そういう子。
でも、俺が卒業したら。
いくら敷地がほぼ一緒とはいえ、今までみたいなことは無理だ。
どうしたらいいんだろう。