それもまた一つの選択
「うわあ!可愛い!」

土曜日、午後。
私は平野さんと学校の帰り、そのまま出掛けた。
カフェに行く前に平野さんが寄りたい場所がある、と言って立ち寄った場所は。

可愛い、フリフリのお洋服が沢山あるお店。
こんなお店、もちろん来た事がない。

「かれん…あ、生野さんと一度来た事があって。
彼女は全然こういう趣味がなくて引かれたからもう二度と一緒には行かない」

残念そうな平野さん。
悲しそうな目が印象的だった。

「私もこういう服がいいな」

絶対に買って貰えないけど。

「じゃあ、また誘ってもいい?」

目を輝かせすぎ、平野さん。
私は思わず吹き出した。

「うん、また来たい」

多少、噎せながら返事をすると

「嬉しい〜!」

平野さんに抱きつかれてしまった。
小物を何点か購入してから私達は外に出た。

「実はね、今日、会って欲しい人がいるの」

平野さんは私の手を握りしめて歩き始める。

会って欲しい人…。
なんだが緊張する。
誰だろう。

歩いて5分くらいしたところにオシャレなカフェがあった。

「来てるかなあ」

平野さんはチラッと腕時計を見ながらお店に入る。
その言葉になんだか異常に緊張してしまう。
誰だろう。
まさか生野さんとか。

「あ」

平野さんが手を振るその先にいたのは。

「良かった」

と笑顔を見せた柏原君。

えー!!という事は!!

「文化祭の時から付き合っているの」

照れ笑いをした平野さん。

「そうなんだ!!おめでとう!!」

思わず、抱きついてしまった平野さんに。
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