それもまた一つの選択
「本当に藤野さん?」
生野さんが急にそんな事を言いだすので私は手に持っていたスプーンをうっかりとお皿に落してしまった。
チラッとトキさんがコチラを見たのがわかる。
動揺丸出しの私を。
「そうですよ」
「高校の時と全然違う」
クスッとトキさんは笑うと
「同じだったら怖いでしょ」
あ、この口調。
トキさんが臨戦態勢に入った事を意味する。
「藤野さん、質問したいことがあるんですけど」
きたきた、生野さんのワイドショー並みの質問。
トキさんは口元に笑みを浮かべて頷いた。
「どうして今井さんと付き合おうと思ったんですか?」
なんてこと聞くの―!!
私でも聞いたことがない!!
「好きになったから」
「えっ、それだけ!?」
生野さんは身を乗り出す。
「それだけ。それ以上の理由、必要?」
トキさんは食事の手を止めた。
そしてまっすぐ、生野さんを見つめる。
「だって、今井さんって家も凄く立派で…その分、親からの束縛も強いと思うのに」
「だから何?」
生野さんの言葉をトキさんは遮った。
「俺は遥の親と付き合うの?違うだろ。遥と付き合っているの。
今井商事の社長とかそんなのとは付き合っていない。
遥は君みたいに同級生から色眼鏡で見られてずっと誰とも深く付き合ったことがない。
けど、遥の心の中は好奇心でいっぱいなんだ。
まだまだ、それを行動に移せない事が多いけど、俺は遥とそれをやって行こうと思っている」
トキさんの言葉に少しだけ怒りが混じっていた。
「今井さんのご両親は何も言わないのですか?」
「会ったこともないのに、言われることがない」
正論だ。
会ったことはない。
それにトキさんはずっと門限を守り続けてくれているから…。
「デートはどうしているんですか?」
またそこに!!
「俺の家」
「二人で出掛けようとは思わないのですか?」
「短い時間なら出かけたりはするよ。でも、遥は絶対に夕方5時までに帰らないといけないからな」
生野さんの喉が動いたのが見えた。
もう、この人、本当に怖い。
「じゃあ、家でしまくり?」
トキさんは吹き出した。
「それが一番聞きたいんだろ?」
トキさんもまた前のめりになる。
「教えてやる、遥が家に来たらほぼ毎回だ。当たり前だろ、目の前に好きな子がいるんだぞ?」
生野さんはきゃー!!っと叫ぶ。
周りの大学生がコチラを見つめていた。
「そんなくだらない事、今後二度と遥に聞くなよ。聞くなら俺を大学内で探して俺に聞け」
大興奮の生野さんに冷徹な目を向けてトキさんは真顔で言った。
表情には出していないけれど、怒っている。
「おい、お前」
私達の背後から声が聞こえた。
トキさんは一瞬視線を下に落として振り返り、見上げた。
「人の彼女になにちょっかいかけてるんだ?」
生野さんが急にそんな事を言いだすので私は手に持っていたスプーンをうっかりとお皿に落してしまった。
チラッとトキさんがコチラを見たのがわかる。
動揺丸出しの私を。
「そうですよ」
「高校の時と全然違う」
クスッとトキさんは笑うと
「同じだったら怖いでしょ」
あ、この口調。
トキさんが臨戦態勢に入った事を意味する。
「藤野さん、質問したいことがあるんですけど」
きたきた、生野さんのワイドショー並みの質問。
トキさんは口元に笑みを浮かべて頷いた。
「どうして今井さんと付き合おうと思ったんですか?」
なんてこと聞くの―!!
私でも聞いたことがない!!
「好きになったから」
「えっ、それだけ!?」
生野さんは身を乗り出す。
「それだけ。それ以上の理由、必要?」
トキさんは食事の手を止めた。
そしてまっすぐ、生野さんを見つめる。
「だって、今井さんって家も凄く立派で…その分、親からの束縛も強いと思うのに」
「だから何?」
生野さんの言葉をトキさんは遮った。
「俺は遥の親と付き合うの?違うだろ。遥と付き合っているの。
今井商事の社長とかそんなのとは付き合っていない。
遥は君みたいに同級生から色眼鏡で見られてずっと誰とも深く付き合ったことがない。
けど、遥の心の中は好奇心でいっぱいなんだ。
まだまだ、それを行動に移せない事が多いけど、俺は遥とそれをやって行こうと思っている」
トキさんの言葉に少しだけ怒りが混じっていた。
「今井さんのご両親は何も言わないのですか?」
「会ったこともないのに、言われることがない」
正論だ。
会ったことはない。
それにトキさんはずっと門限を守り続けてくれているから…。
「デートはどうしているんですか?」
またそこに!!
「俺の家」
「二人で出掛けようとは思わないのですか?」
「短い時間なら出かけたりはするよ。でも、遥は絶対に夕方5時までに帰らないといけないからな」
生野さんの喉が動いたのが見えた。
もう、この人、本当に怖い。
「じゃあ、家でしまくり?」
トキさんは吹き出した。
「それが一番聞きたいんだろ?」
トキさんもまた前のめりになる。
「教えてやる、遥が家に来たらほぼ毎回だ。当たり前だろ、目の前に好きな子がいるんだぞ?」
生野さんはきゃー!!っと叫ぶ。
周りの大学生がコチラを見つめていた。
「そんなくだらない事、今後二度と遥に聞くなよ。聞くなら俺を大学内で探して俺に聞け」
大興奮の生野さんに冷徹な目を向けてトキさんは真顔で言った。
表情には出していないけれど、怒っている。
「おい、お前」
私達の背後から声が聞こえた。
トキさんは一瞬視線を下に落として振り返り、見上げた。
「人の彼女になにちょっかいかけてるんだ?」