それもまた一つの選択
「遥、大丈夫?」
翌日、大学の学食で遥と二人、ランチをした。
あまりにも顔色が悪いので聞いてみても首を横に振る。
「トキさん、何でもない」
そう言って俯きながらパスタを食べているが。
明らかに元気がない。
「そうだ、今日、夕方の講義休講になったから一緒に帰ろうか。
車で来てるから送るよ」
ようやく遥は顔を上げて少し微笑む。
「うん」
それでも、いつもの遥には程遠い。
昨日、何かあったな。
俺に言えないのは引け目があるから、だな。
それが凄く寂しい。
俺には隠さず言って欲しい。
どんなに些細な事であっても。
俺は遥の全てを受け止めるから。
遥。
お前のその仮面、いつになったら取れるんだろう?
俺、許されるならその仮面を剥がしたい。
でも、無理にしたらあっという間にこんな関係、壊れてしまう。
だから決めた。
今日、言おう。
15時半には高校の授業も終わり、遥は待ち合わせていた駐車場に現れて俺の車を探した。
遥が助手席側に立ったのでロックを解除すると車内に入ってきた。
相変わらず、顔色が悪い。
「遥、話があるんだ」
そのまま、車内で俺は話し始めた。
遥は不思議そうな顔をして俺を見つめる。
「遥、目を閉じて」
「トキさん?」
不安そうにするなよ、遥。
「大丈夫、変な事はしないから」
恐る恐る遥は目を閉じた。
俺は隠していたケースを取り出し、中からそっと指輪を取り出した。
遥の手を取り、左薬指にはめた。
「いいよ、目を開けても」
俺が握り締めている手を遥は見つめた。
そして目を丸くする。
「トキさん…?」
「本当はクリスマスにでも渡そうと思っていたんだ。
でもね、今渡さないといけないって思って」
遥、目に涙いっぱい溜めなくても。
俺には今、こういう形でしかお前への愛情を表す事が出来ないから。
「高校卒業したら俺と結婚して。
もし、卒業して大学や専門学校に行きたいなら行ってくれて構わない。
したい事をしてから、その後、子供も欲しい」
俺が言える、今精一杯の言葉。
「トキさん…私、そんな言葉言ってもらえる資格なんてない」
…絶対に昨日、見合いしたな、コレ。
「何で?お互い好きなのに?それとも遥は別の人を好きになったの?」
我ながら酷い詰め方だな。
「…好きになんてならない!!トキさん以外、誰も好きにならないわよ!!」
遥は俺の顔を両手で思いっきり挟んだ。
あ、いつもの遥だ。
号泣して、鼻水出てるが。
本当にこういう所、色気も何もない。
「はいはい、お嬢様。
酷い顔をされていますよ~!」
そう言ってティッシュで顔を拭いてやった。
「高校卒業した日に、入籍予定だから。
それまでに俺は全ての準備を整える。
遥のご両親にも挨拶に行く。
わかってもらえるまで、通い続けるから」
遥は微笑んだが、それはまたある種の不安を含んでいた笑みだった。
翌日、大学の学食で遥と二人、ランチをした。
あまりにも顔色が悪いので聞いてみても首を横に振る。
「トキさん、何でもない」
そう言って俯きながらパスタを食べているが。
明らかに元気がない。
「そうだ、今日、夕方の講義休講になったから一緒に帰ろうか。
車で来てるから送るよ」
ようやく遥は顔を上げて少し微笑む。
「うん」
それでも、いつもの遥には程遠い。
昨日、何かあったな。
俺に言えないのは引け目があるから、だな。
それが凄く寂しい。
俺には隠さず言って欲しい。
どんなに些細な事であっても。
俺は遥の全てを受け止めるから。
遥。
お前のその仮面、いつになったら取れるんだろう?
俺、許されるならその仮面を剥がしたい。
でも、無理にしたらあっという間にこんな関係、壊れてしまう。
だから決めた。
今日、言おう。
15時半には高校の授業も終わり、遥は待ち合わせていた駐車場に現れて俺の車を探した。
遥が助手席側に立ったのでロックを解除すると車内に入ってきた。
相変わらず、顔色が悪い。
「遥、話があるんだ」
そのまま、車内で俺は話し始めた。
遥は不思議そうな顔をして俺を見つめる。
「遥、目を閉じて」
「トキさん?」
不安そうにするなよ、遥。
「大丈夫、変な事はしないから」
恐る恐る遥は目を閉じた。
俺は隠していたケースを取り出し、中からそっと指輪を取り出した。
遥の手を取り、左薬指にはめた。
「いいよ、目を開けても」
俺が握り締めている手を遥は見つめた。
そして目を丸くする。
「トキさん…?」
「本当はクリスマスにでも渡そうと思っていたんだ。
でもね、今渡さないといけないって思って」
遥、目に涙いっぱい溜めなくても。
俺には今、こういう形でしかお前への愛情を表す事が出来ないから。
「高校卒業したら俺と結婚して。
もし、卒業して大学や専門学校に行きたいなら行ってくれて構わない。
したい事をしてから、その後、子供も欲しい」
俺が言える、今精一杯の言葉。
「トキさん…私、そんな言葉言ってもらえる資格なんてない」
…絶対に昨日、見合いしたな、コレ。
「何で?お互い好きなのに?それとも遥は別の人を好きになったの?」
我ながら酷い詰め方だな。
「…好きになんてならない!!トキさん以外、誰も好きにならないわよ!!」
遥は俺の顔を両手で思いっきり挟んだ。
あ、いつもの遥だ。
号泣して、鼻水出てるが。
本当にこういう所、色気も何もない。
「はいはい、お嬢様。
酷い顔をされていますよ~!」
そう言ってティッシュで顔を拭いてやった。
「高校卒業した日に、入籍予定だから。
それまでに俺は全ての準備を整える。
遥のご両親にも挨拶に行く。
わかってもらえるまで、通い続けるから」
遥は微笑んだが、それはまたある種の不安を含んでいた笑みだった。