それもまた一つの選択
別に月曜の放課後なんて。
図書室に行く必要なんてない。
約束、だなんて…そんな大それたものでもない。
とはいえ。
真っ直ぐ家に帰るのも嫌なので立ち寄る。
今日は久々に気分転換。
日本の演劇史でも読むことにする。
これがまた。
中々面白くて夢中になって読んでいて気が付いた。
今、何時?
腕時計を見ると16時を少し回ったところだ。
30分ほど、夢中になっていた。
「わあっ!!」
思わず声を上げてしまったので周りの生徒から睨まれる。
隣にあの、1年生がいた。
いつの間に座っていたんだ?
「トキさん、こんにちは」
「…こんにちは」
俺は本を閉じた。
「…家に帰らなくていいの?」
「あと10分だけ」
彼女の手には本も何もない。
机の上には鞄。
帰る準備はバッチリ。
「電車?」
「はい」
「俺も電車」
と言って立ち上がる。
「じゃあ途中まで一緒に帰る?」
そう言った時の彼女は目を丸くしていたけれど。
でも、その後に。
本当に嬉しそうに笑顔を見せた時。
ああ、俺。
きっとこの子の事が好きなんだなって。
まだ先週の土曜に会って間もないのに。
どんな性格かも、よくわからないのに。
合わないかもしれないのに。
だから誰にも邪魔されないところで話をしたい。
そう思ったのに。
「…」
ふと、桜並木の校門前の坂を二人でゆっくりと下りながら振り返る。
「トキさん?」
彼女は心配そうに俺を見上げる。
「…いや、何でも」
そう言って少しだけ笑みを浮かべたが。
誰かに見張られている。
鋭い視線を後ろから感じる。
図書室に行く必要なんてない。
約束、だなんて…そんな大それたものでもない。
とはいえ。
真っ直ぐ家に帰るのも嫌なので立ち寄る。
今日は久々に気分転換。
日本の演劇史でも読むことにする。
これがまた。
中々面白くて夢中になって読んでいて気が付いた。
今、何時?
腕時計を見ると16時を少し回ったところだ。
30分ほど、夢中になっていた。
「わあっ!!」
思わず声を上げてしまったので周りの生徒から睨まれる。
隣にあの、1年生がいた。
いつの間に座っていたんだ?
「トキさん、こんにちは」
「…こんにちは」
俺は本を閉じた。
「…家に帰らなくていいの?」
「あと10分だけ」
彼女の手には本も何もない。
机の上には鞄。
帰る準備はバッチリ。
「電車?」
「はい」
「俺も電車」
と言って立ち上がる。
「じゃあ途中まで一緒に帰る?」
そう言った時の彼女は目を丸くしていたけれど。
でも、その後に。
本当に嬉しそうに笑顔を見せた時。
ああ、俺。
きっとこの子の事が好きなんだなって。
まだ先週の土曜に会って間もないのに。
どんな性格かも、よくわからないのに。
合わないかもしれないのに。
だから誰にも邪魔されないところで話をしたい。
そう思ったのに。
「…」
ふと、桜並木の校門前の坂を二人でゆっくりと下りながら振り返る。
「トキさん?」
彼女は心配そうに俺を見上げる。
「…いや、何でも」
そう言って少しだけ笑みを浮かべたが。
誰かに見張られている。
鋭い視線を後ろから感じる。