それもまた一つの選択
「いつかはこうなるかなあ、なんて思ってたわー」
竹中先生がベッドの隣で座ってくれている。
「藤野君の事だから何か耐えきれない事があったのだろうけど」
その言葉に私は頷く。
「…ここだけの話にしてくださいますか?」
トキさんの名誉の為。
竹中先生と植田先生が頷く。
「お見合い相手に襲われかけたんです、私」
二人の顔色が一瞬で変わった。
「…なんで?」
植田先生、顔の血管切れそうなくらい、怒りが外に溢れ出てる。
「母が家柄にこだわった為です。
子供が出来たら仕方なく結婚するだろう、という安易な考え」
「自分の娘を犠牲にしようとしたの?」
植田先生の迫力に負けそうになる。
「そうですね。
母はトキさんの事は虫ケラのように見ていましたし。
トキさん、その時に大激怒で…。
今回の結果は二人で決めた事です。
トキさんは、私を今井という名の籠の中から外に連れ出してくれました。
だから後悔はしていません。
このまま退学でも、それは私が自分で選んだ道なんです。
高校卒業の肩書きが欲しければまた定時制や通信制にでも編入して頑張ります」
私の覚悟はトキさんに覚悟を問われた時から決まっている。
「今井さん、見直したー!」
竹中先生が拍手をする。
「正直、二人の家の差は周りから見てもかなりあるから…結婚までは行かないかなあって思ってた」
やっぱり、周りはそう思ってるんだ。
「ただ、藤野君の経済力は凄いと思うわ。
私もそんな彼氏が欲しいなー!」
植田先生、自嘲気味に言う。
「えー、植田先生、彼氏いるでしょ?」
竹中先生が肘で植田先生を突く。
「別れた!」
「うわ、早っ!」
あれ、竹中先生と植田先生って…。
「あ、私達、大学の同級生で今でも仲の良い友達」
竹中先生の言葉をフォローするように植田先生が続けた。
「ずっと仲良く図書室で本を読む3年生と1年生がいるって、竹中先生から聞いていたのよね。
一度、見に行った事もあるのよ、私」
嬉しそうに話す植田先生。
でも、私は隠れて見られていたのかと思うと恥ずかしい。
「特にイチャつく事もなく、二人はその場に自然と座って本を読んでいて。
ここの学校、結構カップルが多いからイチャついて仲良くしているんだろう、と思ったら。
まるで映画のワンシーンみたいに綺麗な空気が流れているのね、二人には。
竹中先生の言う通り、ずっと二人を見ていたいって思ったなあ」
「えー、そうだったんですね」
恥ずかしい。
思わずタオルケットを顔に掛けた。
「何、恥ずかしがってるんだ〜?
今更、恥ずかしがっても仕方ないよ?
それより大胆な事をしてるのに〜」
植田先生がタオルケットを取った。
「まあ、あれだけの寄付をちらつかせたら大丈夫かな。
今井さんのお父さんも凄いけど、それに負けないくらいの寄付が出来る藤野君も凄いわ。
あの歳では到底出来ない事…」
その瞬間、保健室のドアがノックされた。
竹中先生がベッドの隣で座ってくれている。
「藤野君の事だから何か耐えきれない事があったのだろうけど」
その言葉に私は頷く。
「…ここだけの話にしてくださいますか?」
トキさんの名誉の為。
竹中先生と植田先生が頷く。
「お見合い相手に襲われかけたんです、私」
二人の顔色が一瞬で変わった。
「…なんで?」
植田先生、顔の血管切れそうなくらい、怒りが外に溢れ出てる。
「母が家柄にこだわった為です。
子供が出来たら仕方なく結婚するだろう、という安易な考え」
「自分の娘を犠牲にしようとしたの?」
植田先生の迫力に負けそうになる。
「そうですね。
母はトキさんの事は虫ケラのように見ていましたし。
トキさん、その時に大激怒で…。
今回の結果は二人で決めた事です。
トキさんは、私を今井という名の籠の中から外に連れ出してくれました。
だから後悔はしていません。
このまま退学でも、それは私が自分で選んだ道なんです。
高校卒業の肩書きが欲しければまた定時制や通信制にでも編入して頑張ります」
私の覚悟はトキさんに覚悟を問われた時から決まっている。
「今井さん、見直したー!」
竹中先生が拍手をする。
「正直、二人の家の差は周りから見てもかなりあるから…結婚までは行かないかなあって思ってた」
やっぱり、周りはそう思ってるんだ。
「ただ、藤野君の経済力は凄いと思うわ。
私もそんな彼氏が欲しいなー!」
植田先生、自嘲気味に言う。
「えー、植田先生、彼氏いるでしょ?」
竹中先生が肘で植田先生を突く。
「別れた!」
「うわ、早っ!」
あれ、竹中先生と植田先生って…。
「あ、私達、大学の同級生で今でも仲の良い友達」
竹中先生の言葉をフォローするように植田先生が続けた。
「ずっと仲良く図書室で本を読む3年生と1年生がいるって、竹中先生から聞いていたのよね。
一度、見に行った事もあるのよ、私」
嬉しそうに話す植田先生。
でも、私は隠れて見られていたのかと思うと恥ずかしい。
「特にイチャつく事もなく、二人はその場に自然と座って本を読んでいて。
ここの学校、結構カップルが多いからイチャついて仲良くしているんだろう、と思ったら。
まるで映画のワンシーンみたいに綺麗な空気が流れているのね、二人には。
竹中先生の言う通り、ずっと二人を見ていたいって思ったなあ」
「えー、そうだったんですね」
恥ずかしい。
思わずタオルケットを顔に掛けた。
「何、恥ずかしがってるんだ〜?
今更、恥ずかしがっても仕方ないよ?
それより大胆な事をしてるのに〜」
植田先生がタオルケットを取った。
「まあ、あれだけの寄付をちらつかせたら大丈夫かな。
今井さんのお父さんも凄いけど、それに負けないくらいの寄付が出来る藤野君も凄いわ。
あの歳では到底出来ない事…」
その瞬間、保健室のドアがノックされた。