まほろば
紅葉橋
実は私、驚いていたのです、ドキ! っとして綺麗なものに見えてしまったのです。
参拝していた啓一さんは、まるで参拝の手本のようだったこと。
それにその姿が自然で、考えながら動いているって感じではなく、そう、言うならば慣れている。
まるで神主さんのようにと言う方がわかりやすい。
知る限りでは、お父さんとか年配の人しか見たことが無かった。・・・お父さんにはドキとはしない・・・
そのドキが、ずっと収まらないのです、ドキドキではなく、ドキなのです。
・・・何なのだろう? 好きな人の傍に居るときのドキドキではなく? びっくりした時のドキ? が近い気もする・・・
私は御手洗の処から目が離せなくなったと思い出していた。
綺麗に見えたのには確信が持てていた。
敬一さんが手杓子に手を伸ばした時から、同級生達からは感じたことのない、美しい動作に見入ってしまったのだと思う。
コタツの天板に、おでこを載せて啓一さんの手の動きを思い出していました。
「啓一くん、大きくなったな」・・・びっくりするじゃない、心を覗かれたかと思ったよ・・・
私は顔をあげでお父さんを見たのです。
「啓一くんのお母さんは、お父さんの高校時代の一年先輩だったんだよ」「男子学生は、みんなマドンナだと思ってた」
・・・歌手だったのかって落ちなら笑えるけど、お父さんマドンナは古いよ、憧れの人とかが綺麗に聞こえるよ・・・
「啓一くんのお父さん、ダスティン・ホフマンの昔の映画だけど卒業のシーン真似て、美紗子さんにプロポーズして紅葉橋の欄干から川にダイブしたのだけど、雨があまり降って無くて、川の水位が低くてね」・・・痛い予感しかしないけど・・・
「足を挫いて、溺れそうになってるところを美紗子さんに助けられたんだ」・・・プロポーズしてなかったら溺れてたね・・・
「紅葉橋は、男子の度胸試しの所じゃない、それに小学生しかしてないよ」・・・大人のすることとも思えないけど・・・
「もし啓一くんが、紀子にプロポーズして飛び降りたら、どうする?」・・・話が飛躍しすぎてるよ、そもそもありえないから・・・
「美紗子さんは、好きだったから助けたのでしょ、OKって意味じゃない」・・・人道的に助けるのもあるか・・・
「そうじゃなかったら、怪我の看護してて愛が芽生えたとかもあるかもね」・・・OKしたから美談だけど、振ったら街に住めなくなりそう・・・
「私なら・・・どうするかな」・・・啓一さんなら、あの流れるような美しい仕草で、きらめく半回転の後、高飛び込みのように綺麗な入水をする気がする・・・
「拍手するかも・・・」・・・あれ? え? 変かな?・・・
お父さんは、大笑いして「そうか、そうか」と言いました。
その後は、垂れ流しのテレビのバラエティー番組を観ていました。
その時には、お父さんが笑った理由がわかりませんでした。
参拝していた啓一さんは、まるで参拝の手本のようだったこと。
それにその姿が自然で、考えながら動いているって感じではなく、そう、言うならば慣れている。
まるで神主さんのようにと言う方がわかりやすい。
知る限りでは、お父さんとか年配の人しか見たことが無かった。・・・お父さんにはドキとはしない・・・
そのドキが、ずっと収まらないのです、ドキドキではなく、ドキなのです。
・・・何なのだろう? 好きな人の傍に居るときのドキドキではなく? びっくりした時のドキ? が近い気もする・・・
私は御手洗の処から目が離せなくなったと思い出していた。
綺麗に見えたのには確信が持てていた。
敬一さんが手杓子に手を伸ばした時から、同級生達からは感じたことのない、美しい動作に見入ってしまったのだと思う。
コタツの天板に、おでこを載せて啓一さんの手の動きを思い出していました。
「啓一くん、大きくなったな」・・・びっくりするじゃない、心を覗かれたかと思ったよ・・・
私は顔をあげでお父さんを見たのです。
「啓一くんのお母さんは、お父さんの高校時代の一年先輩だったんだよ」「男子学生は、みんなマドンナだと思ってた」
・・・歌手だったのかって落ちなら笑えるけど、お父さんマドンナは古いよ、憧れの人とかが綺麗に聞こえるよ・・・
「啓一くんのお父さん、ダスティン・ホフマンの昔の映画だけど卒業のシーン真似て、美紗子さんにプロポーズして紅葉橋の欄干から川にダイブしたのだけど、雨があまり降って無くて、川の水位が低くてね」・・・痛い予感しかしないけど・・・
「足を挫いて、溺れそうになってるところを美紗子さんに助けられたんだ」・・・プロポーズしてなかったら溺れてたね・・・
「紅葉橋は、男子の度胸試しの所じゃない、それに小学生しかしてないよ」・・・大人のすることとも思えないけど・・・
「もし啓一くんが、紀子にプロポーズして飛び降りたら、どうする?」・・・話が飛躍しすぎてるよ、そもそもありえないから・・・
「美紗子さんは、好きだったから助けたのでしょ、OKって意味じゃない」・・・人道的に助けるのもあるか・・・
「そうじゃなかったら、怪我の看護してて愛が芽生えたとかもあるかもね」・・・OKしたから美談だけど、振ったら街に住めなくなりそう・・・
「私なら・・・どうするかな」・・・啓一さんなら、あの流れるような美しい仕草で、きらめく半回転の後、高飛び込みのように綺麗な入水をする気がする・・・
「拍手するかも・・・」・・・あれ? え? 変かな?・・・
お父さんは、大笑いして「そうか、そうか」と言いました。
その後は、垂れ流しのテレビのバラエティー番組を観ていました。
その時には、お父さんが笑った理由がわかりませんでした。