恋するオフィスの禁止事項 〜エピソード・ゼロ〜



───水野?

もしかして俺が気づいてないだけで、何か悩んでることがあるのか?



「大丈夫か?」

「あ・・・すみません、最近ミスも多いからちょっと恥ずかしくなっただけなんです。私がしっかりしなくちゃいけないだけなのに、弱音を吐いてしまって。」


ほんとに、こいつは自己評価が低い。

本部に来ただけで天狗になる社員だって多いのに、何も満足していないんだ。すごいな。

謙虚に見えて、誰よりも欲があるのかもしれない。


「いいよ。弱音くらい聞いてやるよ。・・・でもな、俺は水野の仕事にミスが多いとは思わない。初めてのことだらけなんだから当然だ。苦手なことに挑戦しているからミスをするんだよ。たくさん挑戦すればたくさんミスするだろ?・・・な?自信持て」

「先輩・・・」

「お前が情けない後輩だと思ったら、俺はちゃんと叱るよ。今は大丈夫だ。今んとこ、自慢の後輩」

「えっ・・・!」


花が咲いたように照れた表情に、また可愛いと思った。


「・・・ん?水野」

「はい」

「・・・俺の手帳の中、見た?」

「・・・っ!!!?」


──お?


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