恋するオフィスの禁止事項 〜エピソード・ゼロ〜
────あの後、唐沢本部長と部長に問い詰められ、やっと解放された。
そりゃそうだ。
関わりもない年下の女性社員を自分の部門に入れて教育係をさせてほしい、そんな申し出をした俺を二人とも怪訝に思ったはずだ。
理由を何度も問われたが、その度に正直に話した。
水野旭を部下にしたい理由について、俺は彼女の仕事ぶりにずっと目をつけていたということを正しく伝わるように説明した。
彼女に恋愛感情があると誤解されてはいけなかった。そんな理由なら絶対に聞き入れてもらえないからだ。
だいたいそんなものは本当にないし。
『まあ君がそこまで言うなら、考えてみるよ』
本部長はそう言った。
水野旭本人が納得すれば、彼女を生活雑貨の配属にさせるということを検討してくれることとなったのだ。
そして彼女は希望と違う部門になることにすんなりと納得したらしい。
彼女は生活雑貨部門に配属、そして俺が教育係を務める直属の部下となることが決まった。