クリスマスツリーの前で
私を抱きしめる力が、強くなっていく。


凌ちゃんが愛しくなってきて、凌ちゃんの背中に腕をまわし、抱きしめ返した。


そのとき、凌ちゃんが我に返ったみたいに、抱きしめる力を緩め、

私の髪に触れた。




「実桜の髪、まっすぐで長くて、綺麗だな……」


「ずっと前に、凌ちゃんが長い髪が好きだって言ってたから、伸ばしてるの……」


「俺のために……?」


凌ちゃんの瞳が、私を見つめてる。


ドキドキしてる私の心も、凌ちゃんしか見えない。


ふたりの視線が絡んで、


髪に触れる手が、頬に移動したとき、



ガチャッ


部屋のドアが開いた。
< 36 / 75 >

この作品をシェア

pagetop