クリスマスツリーの前で
慣れないヒールが、転んだひょうしに取れてしまった。

くじいたのか、足首が痛い。



「もうやだ……。凌ちゃん……。早く逢いたいよ……」



散々、走り回った後で、もう立ち上がる気力も無い……。

転んで、靴も壊れて、服も汚れちゃったし。

凌ちゃんを待たせて悪いと思いながらも、心も体も疲れて動けずに泣いていた。



「もしかして……実桜?」

雪と一緒に、甘い声が降ってきた。

見上げると、そこには白い吐息で心配そうな表情をした凌ちゃんがいた。
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