虹のふもと
「変わったよ。いっぱい。」
背後から少女の声がした。
そこには、少し茶色い髪のふんわりボブヘアーで、目が大きくてくりくりしたセーラー服を着た少女がいた。
「びしょびしょだよ。
風邪、引いちゃうから早くこれで拭いて。」
ニコニコと少女は笑いながら僕にタオルを渡す。
「ありがと。」
少女からタオルを受けとった。タオルを渡した時の少女の笑顔に
少しドキリとした。
いつの間にか雨はやんでいたみたいだ。
「ほんと、タオルありがとう。
洗って返えすから。」
少女に言うと、その少女は楽しそうに傘をくるくる回しながら言った。
「それ、返さなくていいよ。
あげる。」
「いや、それはダメだろ。」
いーの。いーの。と言いながら少女はまた楽しそうに笑う。
何がそんなに楽しいんだろうか。
「楽しいに決まってるじゃん。
雨の降ったあとって、全部が新鮮になった
みたいにキラキラ輝いて綺麗だと思わない?」
僕が口にして聞いた訳では無いのに、その少女は答える。
「僕は、綺麗だって思わない。
この世界に綺麗なものなんて何も無いから。」
僕がそういうと、少女は少しさみしそうな顔をした。
嘘でも綺麗って言った方がよかったのか
考えていると、少女がまたさっきと同じこと
を口にした。