虹のふもと
キーコ、キーコ






少女がブランコを漕ぐ音が、夕暮れ時の静かな公園に響く。


「ねえ、帰らないの?」


さっきからずっとブランコを漕ぐ少女に聞く


「ひなたくんこそ、帰らないの?」


質問に質問で帰ってきたことよりも、僕の名前を知っていることに驚いた。



「名前、僕まだ言ってないよね?」


すると、少女は僕のカバンを指さす。


「そこに書いてあるから、分かるよ。」



少女の指さす先には、カバンについた太陽の形に名前が書いてあるキーホルダー。



これは昔…












誰に貰ったんだっけ


とても大切なものなのに思い出せなかった。
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