虹のふもと
「はる!?

なんでいるの?」


「ひなたくんこそ、なんでいるの?」


嬉しそうな顔で僕に問う。


「なんで、って昨日はるのこと置いて帰ったか
ら…」


言うにつれて恥ずかしくて、少しづつ声が小さくなる。


でも、はるはそれを聞いてまた嬉しそうに弾ける笑顔で言った。

「心配してくれたの?


ありがとう!ひなたくん優しいね。

でも大丈夫だよ。先輩が送ってくれたんだ」


優しい。




なんて言われたことあっただろうか。




そんな暖かい言葉を言われて昨日とは違う涙がまた、流れそうになる。



「あれ?ひなたくん泣いたの?」


はるに言われてドキッとして、目を伏せると


「目真っ赤だよ?」


そう言って僕の顔を覗き込んでくる。

やめて。僕に構わないで。もうほっといて。





そう言いたいのに、言葉は出なくて

ただ唇を噛んで俯くことしかできなかった。

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