虹のふもと
「そうだ。

ひなたくんにいいもの見せてあげる!」



はるは、俯いている僕の手を掴んで走り出した。












「ちょっと!


学校、行かなくていいの?」






乱れる息のなか、はるに言った。


「いつも授業サボっちゃうようなひなたくんに言われたくないなぁ」


はるは、楽しそうに僕の手を引いて飛ぶように走る。



このまま、どこへだって行けそうなくらいに


「なんで、僕のこと知ってるの。」



昨日初めて会ったはずなのに

「ひなたくん学校で結構有名だよ?


イケメンだし、お兄ちゃんも人気者だし!」



はるはまた楽しそうに答える。



星空が人気者なのはなんとなく知っていた。




背も高くて、スポーツも、勉強もできるから男女問わず人気だって。




僕は、いつもそんな星空の後ろに隠れて生きてきた。




そう思ってた。


背も高くないし、スポーツもしない。星空みたいに男らしいわけではなくて、





中性的。




とは言われたことがある。



名前も、漢字を伝えなければ女の子とよく間違えられることもあった。




イケメンなんて初めて言われた気がする。

はるには、初めて言われることがたくさんあるな。
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