虹のふもと
はるは、学校で僕のこと知ってるからあったことがあるみたいな言い方をしたのか。
ひとり、昨日のことに納得していると、
僕の手を引いて前を走っていたはるの足が止まった。
「着いたよ!ひなたくん。」
はるは、嬉しそうに前を指さす。
その指の先を見ると、そこは僕たちの暮らす町が一望出来るところだった。
「あの公園からちょっと来た所が丘になっててね、町が全部見えるんだ」
ちょっと自慢家にはるが話す。
生まれてから、ずっとこの町に住んでいたのに、こんな場所があるなんて知らなかった。
「ここはね、私の秘密の場所。
ひなたくんにだけ、
特別に教えてあげたんだから、
誰にも言っちゃだめだよ?」
悪戯っぽく笑うはるに僕は頷いた。
すっかり活動を始めた町を見て、はるにまた聞いた。
「学校、行かないの?」
はるは、また笑って答えた。
「今日はこのままサボっちゃおうよ」
そう言って、その場に座ってしまった。
ぐいっと僕の手も引いて強引に座らさせられる。
「お話でもしようよ」
はるはそういって、自分のことを話し始めた。