虹のふもと
家に帰ると、幸いにも両親の姿はなかった。
着替えるのも面倒で、そのままベッドに横になると、すぐに深い眠りについた。
ガチャっと、僕の部屋のドアが開く音がした
きっと、母親が帰ってきたのだろう。
僕は、布団の中で身構えた。
でもいつになっても、罵声も、拳もふってこない。
それでも、布団から外を除く勇気はなくて、
ずっと固まっていると、
「太陽。」
あの日と同じように、星空の優しい声が僕のすぐそこから降りそそぐ。
どうしたらいいか分からなくて、黙っていると、
星空の手が、布団から少しはみ出ている僕の髪に触れた。
「ゆっくり、休むんだよ。」
星空はそう言って、僕の髪を少し撫でてから部屋を出ていった。
星空は、きっと僕のことは何度もお見通しで
今日僕がサボって帰ってきたんじゃないって
分かってる。
星空は昔から優しくて、なんでも理解してくれてるから僕が甘えちゃうんだ。
僕がサッカーやめた時も星空は悲しそうな顔して
『わかった。』
とだけ言った。
いつか、僕が強くなって星空に頼らなくてもいいようになるから。
ごめん。星空。
そして、ありがとう。