虹のふもと
帰ろうとしたその時、
「ひなたくん?」
後ろから、君の声がする。
その瞬間、なんだかとても懐かしい気持ちになって、泣きそうになった。
ぐっと涙をこらえて、でも、溢れる気持ちは
抑えきれなくて
すぐ後ろにいるはるを抱きしめた。
「ごめん。」
それだけ言うのがやっとで、
それなのに、はるは僕の背中に手を回して、
「ひなたくんがどうして謝るの?
それより、大丈夫?」
はるは、僕の背中をさすりながら言う。
僕より少し下から聞こえる声。
その声があまりにも優しくて、それでも泣きたくなくて
「大丈夫。」
それだけ言って、はるからはなれた。
これ以上甘えてしまったら、きっと僕は泣いてしまう。
はるは、心配そうに僕を見つめたまま
「学校、どうしてこんなに休んでたの?
今日も来てなかった。」
少し、怒りを含んだ言い方で言った。
「ただのさぼり。」
僕はへたくそな笑みを浮かべてはるに言った
はるは、何も言わないで、怒ったような悲しそうな複雑な表情で僕を見つめたまま。
僕は歪な笑顔を浮かべたまま、沈黙が続いた
何も無いこの時間、
今までの嫌なことを全部思い出して
はるの優しさ、温もりを思い出して
胸が苦しくなる。
次第に呼吸が浅くなって、
やばい。
そう思った時にはもう、僕の顔はほぼ地面に近づいていた。