虹のふもと
ガラガラと病室のドアが開いて、両親が入ってくる。
5年前と全く同じ光景。
「かなたくんが部活帰りに見つけてくれたのよ。」
母親が淡々と告げた。
「ありがとう、
ございます。」
星空にお礼を言うと、
僕が敬語を使ったことに
不信感を覚えたようで星空は首を傾げる。
「太陽?」
星空が心配そうに僕を見て、僕に手を伸ばそうとした時、
父親がそれ妨げた。
「かなた、父さんと母さんはもう少ししたら帰るから先に帰っていなさい。」
父親は優しくそう言って、星空を見送ってからまた僕に向き直る。