虹のふもと





あれから、1ヶ月ほど入院して今日久しぶりに学校に行く。





季節はすっかり夏で大陽がさんさんと降りそそぐ。








体中の痣を隠すために、暑くてもシャツの袖を折ることはしなかったけど。





学校に向かっていると、急に後ろから声をかけられた。




「ねえねえ。俺のことわかる?」


突然話しかけてきたのは僕が全く知らない人


のはずたけど、



「俺、同じクラスのしかも席前なんだけど!」


元気そうだなあ。そんな第一印象。

今まで学校に行っても人には無関心だったから席が前でも全然知らなかった。



「ごめん。しらないや。」



正直に告げると、彼は太陽みたいな笑顔で名前を教えてくれた。



「俺、浅羽 日和!(あさばひより)

よろしくな!タイヨー!」




日和。彼にぴったりの名前だと思った。

でも、


「僕の名前、ひなた。だから」



名前を訂正すると、日和は

「うわ!まじか!太陽って書いてひなたか!

めちゃくちゃかっこいい!!」



やたらビックリマークをつけて話す日和を見て何だかおかしくなってきて少し、

微笑む。




「ひなたの笑った顔って太陽みたいだ。」


日和にそんなことを言われて、昔も同じことを言われたことを思い出した。




あの、僕の一番大切な存在に。






「太陽なんでこんな学校休んでたんだよ?」




僕が考えているのも知らないで日和は

首をかしげながら僕に聞いてくる。




まだ、病気のことは話したくなくて



「さぼり。」



それだけ言うと、日和は可笑しそうに笑った。


「何がそんなに面白いわけ?」


「太陽って真面目そうなのにぜんぜんまじめじゃねぇ。」




日和は笑いながら言った。



なかなか面白いやつだなって思って、それから日和と一緒に登校した。


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