虹のふもと
「なんではるが、」
僕がつぶやくと、はるはとても悲しそうな顔をした。
やっぱり忘れちゃったんだね。
そう、言った気がした。
この写真は、幼い頃僕と〇〇が見た景色。
それは、透き通るようにきれいな海の写真。
僕の特別な写真。
どうして、はるがこれを持ってるんだ。
思い出そうとしても思い出せない。
激しい頭痛がする。
頭痛の合間に、ちらちらと記憶がフラッシュバックする。
「ごめんね。今日もう帰る。」
はるは写真をしまって、走って帰ってしまった。
はるが、泣いていた気がする。
久しぶりに雨が降り始めた。