虹のふもと


星空の瞳も揺らいでいて、つーと一筋の涙が

星空の頬を伝った。












「星空を、






悲しませたくなかった。」







星空の涙を見て、僕がそう告げると、


「俺は、太陽が苦しんでるの見るのが辛かった」




そう言って、少し間をあけて、星空が話す。









「ずっと、気になってたんだ。太陽のこと。

太陽が病気になって、

サッカーできなくなって辛いのになんにもしてやれない自分に腹が立った。



その頃から太陽、あんまり笑わなくなって


俺とも話してくれなくなって。


ずっと嫌われてるのかと思ってた。」




僕はすぐに首を横に振る。



「そんなことない。

星空のこと嫌いなんて思ったこと一度もないよ。」




星空の目を見て、真っ直ぐ伝えると星空は



少し目尻を下げて微笑む。




「俺、太陽が生まれた時めちゃくちゃ嬉しかったんだ。

俺が絶対にこいつのこと守るって決めた。

でも、守れなかった。

ごめんな。」


苦しかったよな。痛かったよな。


星空はそう言って、僕のことを抱きしめて、

とんとんと優しく背中をたたく。





目にじんわりと涙が浮かんできて溢れそうになる。




必死で耐えてたのに、

「もう、我慢しなくていいから。

太陽はじゅうぶん頑張ったよ。

父さんと母さんの事もそうだし

病気のことも、よく頑張った。」






『頑張った』


ほんとは、そう言ってもらいたかったのかもしれない。

その言葉で、今まで我慢してたものがこわれた。


堰を切ったように溢れ出てきてとまらない。





嗚咽をもらしながら泣く僕の背中を



優しくなでながら星空はずっとそばに居てくれた。
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