虹のふもと
ぜんぶ話すと、星空はまた涙を流して
僕を強く抱きしめた。
「ごめん。ほんとにごめん。」
いつか、こんな日が来るとは思ってたけど
でもこんなに星空を苦しめるなら、
僕はずっとあの辛いままの毎日でよかった。
何も言わないで、我慢してればよかった。
僕が我慢してれば、それで済むのだから。
でも、
「もう、ぜったいに俺が守るから。
太陽が辛くなったら頼れるくらい
俺が強くなる。」
星空は泣きながら、優しく微笑んだ。
「ありがとう。星空。
僕も強くなるから。
もう星空を悲しませないように。」
いつの間にか雨はやんでいて、
「じゃあ、帰ろう。
父さんと母さんには説教しないと。」
星空はそう言って、僕に手を差し伸べる。
照れくさくて、僕はひねくれたことを言ってしまう。
「中学生の男子が手つなぐとか気持ち悪いから
やめて。」
そのまま、
その手を取らずに僕は一人で歩き始める。
「昔の可愛さはどこにいったんだか。」
星空はそう言って僕に追いついて、
むりやり僕の左手を握る。
「いいじゃん。今日だけ。
それに、暗いから誰も見てないよ。」
星空は見なくてもわかるくらい
嬉しそうに笑ってた。
僕も、頬が緩むのを抑えられなかったけど
星空に知られたくなくて
暗くてよかったなって思った。
月明かりに照らされて、
星空と僕の影が伸びる。