虹のふもと



「僕、両親から虐待されてたんだ。」


「うん。」

はるは、相づちをうって静かに聞いてくれる。

「はると別れて、ちょっとたった頃

病気になって僕に期待してた両親が

サッカーできなくなった僕なんか

もう必要ないって。」


「ひなたが辛そうなのって病気だけじゃなかったんだね。」

はるが、苦しそうにつぶやくから、

心が痛い。


僕が辛いって知ってたんだ。


「あのね。

ひなたと再開した日、ひなたが先に帰ったでしょ?」

「うん。」

「あの後、かなたくんに会ったの。」

そんなの初めて知った。

ふたりとも、何も言わないから。

「かなたくんは、すぐわかったよ私のこと。」



ちょっと拗ねてから、はるが話を続ける。

「そのとき、かなたくんに言われたの。」


< 68 / 77 >

この作品をシェア

pagetop