虹のふもと
Rainbow colors of the day
「いつか、ひなたが言ったよね。
『この世界にきれいなものなんてない』
って、でもね
この世界は綺麗なもので溢れてるよ。
青い空、
夕日に照らされてピンク色に染まる雪山、
いつもよりちょっと大きい月、
雨に濡れたアスファルト、
でも…
ひなたがいちばん綺麗だって思ったんだ。」
はるが光る水面をみながら僕に言った。
「僕が、いちばん綺麗?」
今は世界に綺麗なものがあるのは分かる。
自分一人じゃ見れないかもしれないけど
はるがいたらみれるって分かった。
でも、僕は綺麗なんかじゃない。
「ひなたは世界でいちばんきれいだよ。
私、たくさん綺麗なものみてきたけど、
やっぱりひなたのその瞳が一番輝いてた。
5年前みたときも、
でもいまは、それよりもずっと綺麗。」