【完】『雪の都』
ほどなく。
ステンドグラス教室には、桜子と薫が一緒に来るようになった。
二人で向かい合って座り、訥々としゃべりながら、しかし互いに作品は仕上げてゆく。
桜子は四角いジュエリーケースを作ったりと小物が中心で、薫は作品展用に家の形をしたケースをつくっていた。
終わると茶を飲んだりして、同じバスで帰る。
この頃になると桜子も新川の薫の部屋に泊まったりもするようになり、互いの部屋を往き来しながら、まだ付き合って間がないはずなのだが、恋人どうしになっていた。