【完】『雪の都』

そこへ。

「こんにちはー」

リュックを背負った彩が入ってきた。

「いやー急な雪でさぁ」

リュックを下ろすとコートを脱ぎ、桜子と薫のテーブルを見て、

「ここ空いてる?」

言うが早いか彩はリュックを置いて道具を拡げ始めた。

「うちのダンナ転勤したから、自由な時間が増えてさ」

無造作な言い方だが、彩は何かを知っているのか、どちらとも取れそうな気が、薫には感じ取られた。



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