【完】『雪の都』
そうこうするうちにバスは札幌駅に着いた。
雪はやんでいる。
「あの、薫さん」
「ん?」
桜子は振り向きざまの薫に軽くキスをしてみせた。
「…大丈夫だから」
「えっ?」
「私は何があっても大丈夫だから」
「…おぉきに」
改札の前まで来た。
少し電車は遅れているらしく、コンコースが混み合っている。
「…ね」
「どないしたん」
「…このまま、永久に就職したいっていったら、薫はどうする?」
桜子は横顔のまま言う。