【完】『雪の都』

桜子は何やら伏し目がちに考えていたが、

「あのさ…うちの母親を連れてきてもいいかな?」

と言った。

「桜子のオカンを?」

「うん」

「そしたら互いに紹介出来るし、うちの母親も薫さんを少しは分かってもらえるかなって」

とは言え。

桜子と薫の年齢差は十五歳もある。

「大丈夫、うちの母親は薫さんより年上だから」

桜子は薫の不安を言い当ててみせた。



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