【完】『雪の都』

最初は空いていた車内も、手稲駅を過ぎた辺りからは次第に混雑して外国語が飛び交うようになりはじめている。

「昔は混まなかったんだけどねぇ」

「まぁ北海道ってリゾート地みたいなもんですからね、こればかりはしゃあない」

あまり動じる様子もない薫を見て、真奈美はどこか頼もしく思えたのか、

「あんたいい彼氏みつけたじゃない」

などと珍しく桜子を誉めた。



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