【完】『雪の都』

銭函の駅を抜けると、右手に広がる黝(あおぐろ)い日本海に沿って列車は右に左に、キィキィとブレーキ音を軋ませながら朝里の駅を後ろへ飛ばし、トンネルを抜けて船浜の海岸から熊碓の隧道を出、築港の駅を越えた。

「病院は南小樽やからねぇ」

そう言っているうちに、古めかしい南小樽のプラットホームに列車は滑り込む。

改札を出て桜の大木を右に折れ、橋を渡った先に病院はあった。



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