【完】『雪の都』
しばらく駅から坂を下って薫と桜子は、堺町でオルゴールを見たりしていたが、やがて真奈美から桜子に連絡が来た。
「戻ってこい」
といったようなことらしい。
慌てて桜子と薫が戻ると、
「薫さん、大変だったんだね」
顔を見るなり真奈美から出た言葉は、
「うちの桜子で良ければ」
という発言であった。
「まぁうちの桜子も、妻子持ちと付き合ってたときにはどうなるかと思ったけど、薫さんだったら」
どうやら例の話は、出なかったらしかった。