【完】『雪の都』
斯くして。
再び南小樽から快速で札幌へ三人は戻ったのだが、手稲で桜子と真奈美が降りて行くのを見届けたあと、ふと車窓から柵越しに、バスのターミナルに停まる一台のパトカーが見えた。
降りてきた警官を見ると、背が違うので大輔ではなかったものの、ふと薫は釧路に単身で赴任しているはずの大輔の、あの背の高い姿を思い出した。
(最初はああなるなんて、考えもつかんかってんやろけどなぁ)
などと考えているうちに、電車のドアは閉まった。
ひとまず琴似駅からバスで新川へは帰れるので、次で降りるつもりで、薫は窓の先の雪景色を眺めながら、とりとめのないことをぼんやりと頭にめぐらせていた。