【完】『雪の都』
vol.3
《1》
朝。
春先の札幌はまだ雪景色だが、光だけは日々強まって、来るべき日和が近いことを桜子は陽射しで知ることが増えたような気がした。
そんななか。
ステンドグラスの教室では、御堂澤先生が結婚を機に退職することとなり、その送別会が開かれることが決まった。
「しかも出来ちゃったからさぁ」
妊娠もしているようで、
「だっていつもゴムつけてくれないから、いつかこうなるかなとは薄々思っててさ」
などと言うと、オバチャンの生徒などからは、
「これからが大変だよ」
などとも言われた。