【完】『雪の都』
結局。
桜子はこの体験がきっかけとなって、ステンドグラス制作に興味を持ち、毎週末に通うようになった。
深雪もスケジュールをやりくりして来るときもあるが、来ない週もある。
通い始めてすぐ、桜子は仲良くなった生徒がいた。
福留彩という近所の主婦で、
「旦那が警察官で不規則だから、なかなか出かけるったって一緒には無理だし」
と愚痴をこぼす日もあったが、もう二年ぐらい通っているらしく、
「今度の作品展、どうしようかなって」
などといいながら、バラがデザインされたランタンのシェードを彩は手掛けている。