【完】『雪の都』
送別会の当日、桜子と薫はいつものように札幌駅で待ち合わせて、会場になっている居酒屋まで歩いた。
居酒屋に着くとすでに彩は来ており、
「こっちおいでよー」
と手招きをする。
顔を見合わせたが断る理由もないので、四人掛けの席に彩と向かい合うように腰をかけた。
そこへ。
「こんばんは」
と彩の隣に座ったのは、なぜか大輔である。
「うちの旦那ね。忘年会かなんかのときに顔を合わせてるぐらいだけど」
彩はどうやら強引に連れてきたらしい。