【完】『雪の都』

これは駄目だ、と薫は判断したのか、

「彩姉さん、ちょっと酔っ払って悪酔いしたみたいだから、少し休んだほうが…」

「何言ってるの」

彩は目付きが鋭くなって、

「うちの旦那なんか女の子と浮気してるけど、それをこっちは我慢してやってるんだよ」

と大輔をにらんだ。

「いや、さすがにそれは…ねぇ」

桜子は困惑した。

「桜子ちゃんは例の写真、知ってるよね?」

どうも彩は桜子という味方を手元に引き付け、大輔の浮気を懲罰するつもりでもあったらしい。

が。

それは送別会でする話ではない。

そこに。

薫のもとへ御堂澤先生が来た。

「かんぱーい」

御堂澤先生は烏龍茶を手にあちこち席を回っているらしい。



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